自分にとっては4年振りの『ちゅうおん』。流行病もあって去年も一昨年もちょっと行くのを諦めてしまっていた秩父ミューズパーク(いま思えば何を自粛していたんだろうという気分ではありますが)。実際行ってみて、やっぱり大好きなライブだったな、大事にしたいライブだなと改めて実感しました。
詳細は
ナタリーさんの記事で見ていただくとして、Twitterで書くとバカ長くなりそうだった取り留めのない雑感をココにしたためることにします。ナタリーさんと同じ、初日24日の第一部を見てきた感想です。
★
『ちゅうおん』とは、普段のカラオケベースの唄って踊るライブとは異なり、全編生バンドかつお客さんも着席指定でペンライト等の使用も禁止。演者側も、そして見る側もひたすら歌に集中する、そんなスタイルのライブです(もちろん少しは演者も動いたりするし、見る側も手拍子とかやったりします)。2017年の秋から始まり2018年秋に2度目の開催。2019年は開催されなかったものの、流行病で思うような活動が出来ない中での打って付けのイベントということもあってか2020年秋に復活。そして去年2021年秋、新メンバー3人も加わった9人での初『ちゅうおん』が開催されました。『ちゅうおん』は言ってみれば秋恒例のイレギュラーなイベントなのです。今年は9人のエビ中としては2回目、そして年末に柏木ひなたさんが転校(脱退)するので、9人として最後の『ちゅうおん』でした。
が、声帯ポリープの手術を終えたばかりの真山りかさんは、喉の状態を鑑みて数曲のみの参加に。真山さんも悔しい思いをTwitterでもつぶやいていましたが、それでも限られた時間の中、いつものように全身全霊で唄う真山さんはカッコ良かったです。どうか無理なさらず。また完全体でステージに上がっている真山さんを拝見したいです。
さて、毎度ライブを見るたびに新メンバー3人の成長ぶりに驚かされるのですが、今回特に桜木心菜さんには度肝を抜かされまくりました!あんなに歌に自信のなかった娘が、加入して2年もしないうちにこんなに激変するのか…と。特にソロカバーコーナーで唄ったUA「情熱」のパッションほとばしり具合!若干この曲のときだけは音程が怪しかった気はするものの、それ以上に歌声の迫力、引き込まれ具合が凄まじく、すっかり聴き入ってしまいました。まさに情熱の「赤」。アイドルグループの色分けにおける「赤はリーダー」という概念と異なる、オルタナティブな「赤」という確固たる存在。堂々としたパフォーマンスからも、声量、抑揚、細かな技術面などなど、以前よりも自身がイメージしているように歌えているのは間違いないであろうことがうかがえました。もう全然上手く歌えなくて泣いてたあの頃の桜木さんは居ないんだな…(ボイストレーナーさんの)えみこ先生すごいな。
ほかの2人も順調に育っているように感じられて良かったです。もともと歌声が素敵だった風見和香さんも、より歌の表情が豊かに、より精度が増していたのがとても頼もしかったです。このまま正統派としてエビ中の歌の軸になってくれることを期待せずにはいられません。小久保柚乃さんもおとぼけ感そのままに、「二代目・エビ中のボーカロイド」は言い過ぎかもですが真っすぐ安定した歌声で、かつ曲によって声色を微妙に変えたり、いろいろ出来るようになってる気がしました。関係ないけど、「ハッピーエンドとそれから」のときに矢鱈とリズム隊を見ながら拍を刻んでいた小久保さんが非常に印象的でした。苦手なリズムだったのか知らないけど可愛かったw やはりこの娘の一挙手一投足からは目が離せない…
ついついあの3人のことばかり書きたくなってしまうのですが、個人的には小林歌穂さんのEGO-WRAPPIN’「くちばしにチェリー」のカバーがえげつなく刺さりました。もともと伸びやかな高音もだけど艶のある低音も魅力だなあとは思っていたものの、あんなにドスの効いた低音ボイス響かせられるんかい!と衝撃でしたし、とにかくクールでした。中山莉子さんも毎度の賑やかしカバー曲かと思いましたが、パワフルな歌声の中にもしっとり感が増してて、ああ大人になったんだなあとしみじみ。やはり"かほりこ"は尊い、そして強い。
星名美怜さんの川本真琴「愛の才能」カバーもほんと良かった。やっぱこういう曲似合うし、ちゃんと期待を裏切ることなく仕上げてくるのホント信頼しかないです。柏木ひなたさんの歌声は言わずもかな。あんなに宇多田ヒカル楽曲を自分のもののように歌いこなすなんて…でももうこの秩父ミューズパークで柏木さんの聴くのは最後なんだなと思うと切なさが。でもそんなセンチメンタルな気持ちをシンプルに楽しむ心に引き戻してくれたのは、安本彩花さんでした。
今回のライブで一番印象的だったのが、1部だけで披露された「涙は似合わない」。冒頭、安本さんの「絶対負けない」の一言から始まる曲。2018年、主要メンバーの脱退公演があった次の日に行われた当時6人での新体制ライブ「ebichu pride」で安本さんの心に刺さるMCと共に披露して以降、どうもこの曲にカルマが宿ってしまった気がしていて。でもあれから色んなことがあって迎えたこの日の「絶対負けない」は、あの頃の何かを背負って闘う思いとは違う、「もう何があっても大丈夫だよ」というメッセージだったようにすら感じたのです。おもえばライブ中の安本さんはずっと笑顔だったり面白顔だったり色んな表情をしていて、とにかくこの場を楽しんでいるのが手に取るように分かるんですよね。それは『ちゅうおん』に限らず、大病から復帰して以降の安本さんはずっとそう。そういう姿を見ちゃったら、こちらも楽しむしかないですわ。これからも転校(脱退)やら入学(新加入)やら色んなことあるだろうけど、きっと大丈夫。なんだか勝手に危惧していたカルマが心の中で解けた感覚と、とにかく楽しいという感覚が入り混じった、不思議と胸が熱くなる瞬間でした。
長々書きましたが、総じて楽しかった!あらためてエビ中の楽曲が好きだし、メンバー個々の歌声が好きだし、全員の声が揃ったときの力強いユニゾンも好き。好きなものをたくさん浴びることができて最高なひとときでした。来年もあったら行くぞ!
★
最後に、去年の『ちゅうおん』音源がサブスク配信されてますので共有します。少しでも気になる方は聴いてもらえると嬉しいです。こんな感じのライブです、『ちゅうおん』って。個人的には柏木さんのKing Gnu「白日」カバーは、島津亜矢さんとか他の人の同曲カバーと比べても一番好きです(ひいき目あるのは間違いないですw)。しかし黒毛和牛を去年唄ってた小林さんが今年はくちばしにチェリーなんて誰も予想できませんわね…