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SCRAPPY JEWELRY / カミナリグモ


今年リリースされたカミナリグモのアルバム『SCRAPPY JEWELRY』がすごく良かったので、最近色々感じていたことも含めて記録として残しておこうと思います。





カミナリグモは上野啓示(gt. & vo.)とghoma(key.)からなる2人組。2002年に活動を開始し、2010年にメンバーが敬愛するthe pillows 山中さわおさんプロデュースでメジャーデビュー(自分はこの頃に知りました)。その後再びインディーズに戻るも、ghomaさんが別仕事との両立が厳しくなったことから2016年に活動休止。それから2年後の2018年から徐々に活動を再開させていき、ようやく2020年に活動再開後初のアルバム『SCRAPPY JEWELRY』をリリースするに至りました。

カミナリグモの魅力の一つは、上野さんの抑揚をおさえた無機質な、でも不思議と温かみや優しさを感じる独特な歌声。例えて言うと、カミナリグモのPVやCDジャケットによく登場する、絵を描いたり、満員電車のなかで物憂げな表情をしたりと、たしかに「心」を持ったロボットのような。淡々とした歌声だからこそ、心のなかでうごめく繊細な感情がより鮮明に浮き上がるように感じます。

もう一つの魅力は、音の多彩さと遊び心。ギターボーカルとキーボードという編成だからこそだと思うのですが、曲に合わせて、時にはあえてドラムも打ち込みにしたりローファイな音づくりをしたり、時にはゲストミュージシャンを招いてバンドのダイナミズムを前面に出したりと、デュオでありバンドでもあると言わんばかりの自由さ、縦横無尽さは、よく例えで使われる「おもちゃ箱をひっくり返したみたい」という言葉が一番似合うんじゃないかなと思います。

『SCRAPPY JEWELRY』は、そんなカミナリグモの魅力が詰まった1枚です。・・と、ここまでごちゃごちゃ言ってきましたが、とにかくカミナリグモは何より曲が素晴らしく良いので、文章より聴いてもらった方が早いということで、ここから怒涛の動画ラッシュです。


4曲目「TOY BOX STORY」はピアノの綺麗な旋律が印象的です。何度か出てくる「キミがいないだけ」という言葉、余計と心にポッカリ穴が開いている空虚さが、聴き手の心に残りますね。


7曲目「手品の続き」は会場・通販限定シングル曲。自分自身は手品みたいに騙せないという歌詞、言葉の選び方は柔らかいようでいて、それが尚のことグサグサ刺さります。


9曲目「アニバーサリー」は、活動再開後はじめて配信リリースされたシングル曲。リリース当時はホント嬉しかったなあ・・。ちなみにこのシングルのc/wである、あえてチープな音の感じを出した「Half Asleep」という曲も凄く好きで、その曲もアルバムにも収録されたのでそれもまた嬉しかったです。


ラスト前の12曲目「夜明けのスケルトン」は、自分の中ではすでに2020年を代表する1曲になったと思っています。

 そこには何もなくても 奇跡は起こらなくても
 永遠は嘘つきでも 今ここにキミがいる
 それは確かさ 確かさ

閉塞的な昨今、不確かな情報やフェイクニュースに振り回され、大切なものがポロポロ零れ落ちてしまっているようなこの世の中。それでも、確かに自分のすぐ近くにあるもの、それだけは見失ってはいけない、そんなことを改めて思い知らされました。そしてなんとなくですが、カミナリグモの代表曲でもある「王様のミサイル」に近いものを感じます。あの曲も、どんなことがあっても大切なものはきっと残るというような歌詞だったし。カミナリグモが常に大切にしてきたことが、「夜明けのスケルトン」にも刻まれているのだなあと。


話は変わりますがこのPVの件、YouTubeの広告にのった影響で再生数がすごく伸びているのですが、コメントを見てると「いまからでも古参になれるかな?」とか、2002年から活動している方々に対して失礼なことを平気で書く人が多く残念です。音楽はマウントを取るための道具じゃないですよ。そんなこと言っといて他のアルバム曲の再生数が伸びていないのは一体どういうことでしょうか。感性は人それぞれなので何とも言えませんが、もっと真っ当な形で、数字やネームバリューに流されない自分の価値観で出来た物差しで、純粋に音楽を楽しむ人が増えてくれることを、自分としては願うばかりです。





脱線すみません。カミナリグモは今も昔も良い曲を作り続けている類稀なる存在なはずなのに、なかなか日の目を見ていないのが現状です。このブログを見て気になった方は、是非とも他の楽曲も聴いてほしいです。そして、曲の良さを強調しすぎた感もありますが、上で紹介した曲の合間に遊び心たっぷりの楽曲が挟まっていて、それもまたアルバムとして良いアクセントになっていますし、個人的にツボな曲ばかり。全13曲でトータル41分というメンバー(そして俺もw)敬愛のthe pillowsのアルバムみたいなコンパクトさも魅力。アルバムの分量的にはやっぱりこのくらいが丁度良いなあ。小さな箱の中にイロトリドリの宝石が敷き詰められているような可愛らしさと贅沢さを感じます。・・て、なんかだんだん何言ってるのか分からなくなってきましたが、とにかく自分のなかでは2020年で1番好きなアルバムになりそうです!ということだけはお伝えしたく。

というわけで、最後にアルバム全曲トレイラーを置いておきますね。
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