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biscuit notes

Spotifyプレイリストとか音楽のもろもろをつらつらと

Doolittle / Pixies


だいぶひさしぶりですが「私を構成する9枚」の一つ、Pixiesの『Doolittle』を初めて聴いたときの「こういう音楽もあるのか…!」という衝撃、「音楽かくあるべし」と無意識に刷り込まれた固定概念が剥がれた体験を簡単に残しておこうと思います。





Pixiesはブラック・フランシス(vo. & gt.)を中心として1986年に結成。4枚のアルバム等をリリースするもメンバー間の不和もあり1993年解散。しかし2004年にまさかの復活、その後もメンバーチェンジなどはあれど今なお活動中。『Doolittle』は、解散前の1989年にリリースされた2枚目のアルバムであり、彼らの代表作といわれることが多い一枚。

もともとthe pillowsの山中さわおさんがフェイバリットに挙げていたこともあって、どんなものかと何の予習もなしに本作を買ってみたのですが、1曲目「Debaser」から驚かされました。というわけで、まずは動画を(若干グロい箇所ありますがご容赦を)。


最初の感想は「え、これ歌ってるん?」でしたw 常に喚き散らすブラック・フランシス、その後ろを淡々と演奏する他のメンバー、特にキム・ディール(ba. & vo.)のコーラスとの対比が…。しかし、最初こそ若干の抵抗はあったものの、聴いているうちにだんだんブラック・フランシスの変態さに心地良さすら感じる自分が居ました。私自身が変態だというのもあるのでしょうがw、無意識に自分の頭に刷り込まれていた「音楽はこうでないといけない」という固定概念が徐々に剥がれていくような、そんな感覚を憶えています。

思えば大昔ガキの頃の自分は「売れてる音楽が良い音楽」とかいう腐った思想を抱いていました(恥)。さすがに中学高校とラジオとかで色んな音楽を触れるにつれ「売れてない音楽にも良い音楽がたくさんある」ということが分かってきたのですが、その頃も主に聴いていたのは日本の音楽。それゆえ、AメロBメロがあってサビがあって、それがだいたい2回あって最後サビ、みたいなパターンのようなものが自然と刷り込まれていたのだろうと推測しています。「Debaser」は、どこがAメロでどこがサビか全く分かりませんし、コード進行はあっても歌メロらしきものは(キム・ディールのコーラスを除いて)皆無。「こういう音楽もあるのか…!」というのを体感したことで刷り込みが消えていき、よりフラットな感覚で音楽が聴けるようになった気がします。音楽の好みは人それぞれですが、何かしらのジャンルの音楽を批判する人のなかに、こういう固定概念という色メガネを通して音楽を聴いている人、結構いるんじゃないかなと思っています。音楽に限らず、色んなものを見て聞いて固定概念を壊すことは、人としての幅を広げる意味でも大事だなあと感じます、なかなかできないですが。


『Doolittle』に話を戻します。アルバムは序盤こそ「Debaser」からの2曲目「Tame」と気が狂った感じで展開していきますが、全体を通して比較的穏やかだったりおどろおどろしい曲が多く散りばめられている印象です。しっかし「Tame」のライブ映像やばいなあ、ギター持ってないんかいブラック・フランシス。


5曲目「Here Comes Your Man」は超有名曲。知ってるだけでもPENPALSがパンクカバーしていたし、the pillowsの「Back seat dog」でこの曲のフレーズが飛び出すオマージュがあったりと、色んな人に愛されている曲だと思います。Pixiesに影響を受けたバンドはとても多く、あのNIRVANAのカート・コバーンも「Smells Like Teen Spirit」を書く時に「Pixiesの曲をパクろうとしているところだ」と公言したほど…Pixiesとはぜんぜん違う音楽に聞こえますが。。


7曲目「Monkey Gone to Heaven」も彼らの代表曲のひとつ。さっきの曲もそうだけど、こういう曲もイケるんかい!という良曲っぷり。

後半は激しい曲おどろおどろしい曲たちのなかに、レゲエっぽいイントロから突然カントリー調になる8曲目「Mr. Grieves」があったり、「お前はプレスリーか」と言いたくなるセクシー低音で聴かせる10曲目「La La Love You」があったり、スライドギターで異様な雰囲気を醸す14曲目「Sliver」があったりと散らかし放題、そのままアルバムは終わります。1stアルバム『Surfer Rosa』のほうがノリの良い曲が多いし聴きやすいですが、癖になるのは『Doolittle』の方かなあと。


Pixiesは今も活動していますが、バンドの主要メンバーでもあったキム・ディールが2013年に脱退。復活以降の作品は個人的にはあまりしっくり来なくて今はほとんど追ってません。メンバー間の不和が広がり始めた3rdアルバム『Bossanova』、4thアルバム『Trompe Le Monde』もあまり聴き込まないまま放置していたので、この機会にまたちょっと聴き直そうと思います。今ならしっくり来るのかな。





4年前に流行ってたのでつくってみた「私を構成する9枚」、今の気分だとこんな感じですかね、というわけで右上と右中の2枚を変更しました。

(右上)エビ中『金八』『playlist』、(右中)星野みちる『YOU LOVE ME』→『月がきれいですね』と、いずれも最新作にアップデート。この2組は「今が最高」と自信を持って他の人にも薦められる、自分にとっては類稀なる存在なのだなと改めて感じます。残り7組も自分の音楽に対する価値観が変わるターニングポイントになった存在。特にタンポポはPixies同様、当時凝りかたまっていた自分の固定概念をキレイに打ち砕いてくれました。近いうちにブログに纏めるんじゃないかな、わかんないけど。
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