去年リリースされたアルバム『The Novembers』の1曲目「BOY」のMVが最近アップされ、あらためて思ったのが最初の一行。以前プレイリストを作成していますが、THE NOVEMBERSというバンドに自分が抱いていたイメージは、完全に「陰」。ヒリヒリするほどの激しい曲も、穏やかな優しい曲もあるけど、このバンドの音楽を聴いて明るいポジティブな情景を浮かべるようなことは今まで決して無かったです。前々作『ANGELS』や前作『At The Beginning』に至ってはプログラミングされた音が目立つ無機質な作風で、「ついにここまできたか…」と驚愕しましたし。
The Vaselinesは1986年に結成されたスコットランドのバンド。当時はそこまで世に知られていなかったのが、Nirvanaのカート・コバーンがバンドを敬愛していたこと、代表曲「Son Of A Gun」など数曲カバーしたことで解散後に再評価されたのだとか(解散後ちょこちょこ復活してたり)。と、細かい話はさておき、個人的にはっきりと確信したことがあるんですよ。「自分は男女混声バンドが好きだ」と。それも、どちらかが主旋律でどちらかがハモリとかでなく(そういうときもあるけど)、両者おなじメロディーを唄うタイプのバンドが好き。
購入したCD『The Way of The Vaselines』は、解散する1989年までにリリースされた作品を集めたコンピレーション盤。もとは1992年の作品なんだけど、今年になってリマスターされ再発(その前にデモ音源・ライブ音源を追加した2枚組のデラックス盤『Enter The Vaselines』が2009年にリリースされている)。それだけ長きに渡って愛されているということのようで。正直演奏はヨレヨレなんですが、これもまたひとつの味、なんならカッコ良い。時に激しいバンドサウンドを響かせながらも、抑揚控え目のメロディーを淡々と唄い続ける男女ボーカル。ずっと聴いていられる心地良さ。素敵なバンド、素敵な作品に巡り合えて良かったです。
the pillowsのフロントマン、山中さわおさんはつくづく自分のなかの理想の生き方、自分には程遠い存在。その昔、色んな大人の言うことを聴いて、それでも売上含め報われない疲弊の時代を過ごした結果、「俺はやりたいことしかやらない」とばかりにこれまでのポップ路線から一気にオルタナ方向へシフト。それがあったから今があるといっても過言じゃない1996年のターニングポイントからもうすぐ30年、さわおさんのスタンスはずっと変わらない。やりたいことはやる、やりたくないことはやらない、そして(FCブログで愚痴りつつも)自分自身の機嫌をとる方法を知っている、自分の脳をうまく飼い慣らせる強い生き方。2020年、コロナ禍でライブが出来なくなった時はさすがに参っている様子だったけど、そんな年に主にソロ名義でCDを何枚も出して(通販限定含む)50曲近くもの楽曲を世に出し、ミュージシャンとしての大事にしてきたものを、ひいては自分自身を守りたいという強い意思を感じたものです。